私の父は船乗りでした。
長い航海の後のお土産は、小さい私にはおもちゃ、
母にはジュエリーでした。
父が病に倒れ、当時の医学では治る見込みが無く、
両親は、田舎で店を開き、療養しながら暮らしてゆく道を選択します。
店のオープン直前、父は他界しました。
そこから母が一人奮闘し、私と弟を育ててくれました。
元気で明るい母ですが、
どうしようもない時は、
父からもらったジュエリーの小箱をそっと開いて眺めていました。
その様子が、子供の私から見ても、美しく、
まるで元気な頃の父と母が穏やかに語り合っているように見えました。
この両親が見せてくれたものが、
今世で私がジュエリーを仕事としてゆく原点となってゆきます。
でもまだ、この時は、
そんな未来に気づくことさえ出来ない状態でした。
(続く)
アナザーストーリー
・ジュエリーの時代
・セラピーと出会って
・今、そして未来へ